現在の海苔養殖は、海苔の果胞子を貝殻に潜らせて育て、果胞子が糸状に成長して再び果胞子を発芽させ、そこで生まれた胞子を海苔網に付着させて育てる「人工採苗」という方法で増殖させる。
しかし、この方法が開発されるまでは、海苔の胞子は海の中に浮遊し、海岸の岩場に付着して夏を過ごし、秋口に果胞子を出すと思われていた。そこで竹ひびや海苔網を海の中に建て込み、それに自然に海苔芽が付着して成長するのを待ち、手摘みをするのが一般的であった。
ところが、海苔の胞子は春先から秋口まで貝殻の中に潜り込み、黒い糸のような状態(糸状体)で生長し、秋口に貝から飛び出し海中を浮遊することが発見された。
この発見によって初めて海苔の一生が明らかになった。
その結果、現在のような海苔の胞子を人工的に育てて養殖する方法が考え出された。
海苔の胞子が貝殻に潜って夏を過ごすことを発見したのが、イギリスの海藻学者である。
人工養殖の生みの親で、今日の海苔養殖発展の大きな貢献者である。 |