ここでは、三重県から北海道までを大きく東日本地区とする。
この地域では、三重県の伊勢湾。愛知県の知多湾、三河湾、渥美湾。神奈川県・千葉県の東京湾。宮城県の仙台湾などが主な漁場である。
この地区は約25億枚の生産数量になり、全国の約25%を占めている。
[三重県]
約5億枚(全国生産量の約5%)の生産能力を持つ産地で、木曽川の河口に漁場を持つ桑名地区をはじめ、良質の海苔産地である。慶応3年から明治7年にかけて、良質海苔産地として確立した。
[愛知県]
約8億枚(同8%)の生産能力を持つ産地。安政4年頃から始められたが、明治後期から大正の初めにかけて良質海苔産地として大きくなった。近年は渥美湾の空港建設でやや生産量が減少しそうである。
[神奈川県]
約2億枚(同0.2%)の生産能力を持つ産地。明治4年に本格化し、かつては、大森地区同様に東京湾の良質産地として注目されていたが、京浜工業地帯の埋め立てなどで川崎の主力漁場が消え衰退した。現在は、横浜市柴、金沢。横須賀市走水、大津。相模湾側の長井が主な産地。
[千葉県]
約5億枚(同5%)の生産能力がある。上総地区では文政5年から海苔が生産されていたが、県下で本格的になったのは明治16年頃から。近年は東京湾の開発で漁場も木更津、富津の両地区が主力漁場になった。香の良い海苔が生産されて、質と香で関東地区では根強い人気を持っている。
[宮城県]
約8億枚(同8.3%)の生産能力を持つ。安政元年の始まりだが、明治初期には東京湾を除き、関東地区で3大海苔生産地(上総・千葉県、三保・静岡県、仙台・宮城県)として注目されていた。宮城県沿岸がすべて海苔産地であったが、現在は、仙台湾、気仙沼湾が主力産地である。
[その他]
福島県が昭和50年代で全国共販から姿を消し、岩手県も昭和60年度を最後に全国共販から姿を消した。静岡県も浜名湖周辺で生産されていたが、昭和50年代に全国共販から姿を消した。北海道は室蘭、釧路、網走で生産されていた。これら各産地とも一部で生産されているが、地場消費程度の生産量である。 |